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藤野先生添削 魯迅医学ノート(複写)

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福井モノ語り


 『師弟の愛にじむ朱筆』

「私が自分の師と仰ぐ人のなかで、彼はもっとも私を感激させ、私を励ましてくれたひとである」。中国を代表する思想家、魯迅(1881~1932年)は26年に書いた自伝的小説「藤野先生」で、あわら市出身の医師、藤野源九郎(1872~1945年)のことをこう記している。

 2人の交流で象徴的なのが医学ノートの添削だ。魯迅が仙台医学専門学校(現東北大学医学部)に入学した際、藤野が解剖学の講義を担当。日本語やドイツ語と図がびっしりと書かれた講義ノートを、単なる医学的誤りだけでなく日本語の使い方に至るまで朱筆で一つ一つ細かく指摘している。藤野は受け持つ講義が終わるまで添削を続けた上に、日常生活の便宜も図ったという。

 魯迅が留学時に筆記したノートは脈管学、解剖学など計6冊あり、魯迅の故郷である紹興市で見つかった。中国の国家一級文物(国宝)に指定されている。この脈管学の複写本が、2006年に同博物館からあわら市に寄贈され、同市藤野源九郎記念館に展示されている。

 日清戦争で清が敗れ、日本では中国人をさげすむ風潮があったとされる当時も、藤野は親身になって面倒を見続けた。2人の師弟愛は、現代の日中友好の礎になっている。(黒田美沙)

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2019年(令和元年)5月6日(月曜日)福井新聞から。
◎当時無名の苦学生のことを気にかけられて、面倒を見られた真心が、今、日中の友好の礎になっている。その真心を見習いたい。「世界人類が平和でありますように」(I)

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